2008年に公開された映画「インクレディブル・ハルク」。
2008年の映画「アイアンマン」から始まったMCUの第二作目として制作され、のちに、製作陣との意見の相違からブルースバナー役が変更することになった作品。その後のMCUの中でも唯一続編が制作されなかった作品でもあります。
ここではそんな「インクレディブル・ハルク」のMCUとの関わりのある部分を中心に、登場するキャラクターや地名、年代などをまとめています。
→MCU前作|映画「アイアンマン(2008)」
→MCU次作|映画「アイアンマン2(2010)」
劇中がいつなのかのタイムライン(時代設定)
物語の現在は2011年(冒頭のスーパーソルジャー計画の際の映像とマーベルワンショット「相談役」からの推測。今作の映像内容から具体的な日時を割り出すことはできませんでした。その上での推測になります)。
2006年(5年前)|スーパーソルジャー計画が行われバナーが初めてハルク(緑の大男)に変身し、事件関係者のベティやロス将軍らに怪我をさせる。その後、2月7日、ブルースがベティに連絡を取るが失敗。ブルースの協力者にベティ、リチャード・”リック”・ジョーンズなど。
2011年(現在)|
?月?日|バナー博士、ホッシーニャ(ブラジル)で逃亡生活。158日間前(およそ5ヶ月前)に一度ハルク化。バイトを始めたのも5ヶ月前。それ以降、ロス将軍はブルースを見失った。つまりホッシーニャに来てからロス将軍には見つかっていない。
?月?日|ホッシーニャの変身から17日後にバージニア州のカルバー大学へ。
?月?日〜|その翌日にカルバー大学で変身。怪我をしたベティを助けて国立公園(一泊)、モーテル(一泊)、移動中(一泊)、ジャージーシティから船でニューヨークへ。グレイバーン大学で中和実験を成功し夜にロス将軍に捕まるがアボミネーションと戦って姿を消す(一泊)。ホッシーニャから21日経過。
?月?日|本編最終シーン、山小屋のブルース・バナーは、アボミネーションとの戦いから31日後。ブラジルに移動してから210日経過。
公式の発表では「インクレディブル・ハルク2008」、「アイアンマン22010」、「マイティ・ソー2011」の三作は、一週間以内に起きた出来事とされている。ちなみにカルバー大学で働くジェーン・フォスターや、シールドのコールソンらは雷神ソー(映画「マイティ・ソー(2011)」)のことがありニューメキシコにいたという裏設定あり。
登場するロケーション・地名
ホッシーニャ(Rocinha ブラジル、リオデジャネイロ)|ブルース・バナーの潜伏している場所。居住地はいわゆるファベーラという貧困街・スラム・低所得者居住地域。
ポルト・ヴェルデ(ブラジル、リオデジャネイロ)|ブルースが働く飲料水の瓶詰め工場。ここで製造されたブルースの血液が混入したジュース「ガラナ・ソーダ(ガラナ飲料「ピンゴ・ドセ」)」を飲んで体に異常をきたしたミルウォーキーの男(演じたのは漫画原作者スタン・リー)の情報がロス将軍の元にあげられ、ロス将軍がブルースのいどころを突き止める発端になる。
フォートジョンソン米軍基地|フロリダ州南部のエバーグレーズに位置する米軍基地。グレラー将軍とロス将軍がハルク捕獲のためのチームを組織した場所。現実ではマイアミ国際空港への離着陸に失敗した飛行機が、フォートジョンソン米軍基地へ墜落した事故が二件発生ことがある(イースタン航空401便墜落事故(1972年12月29日)とバリュージェット航空592便墜落事故(1996年5月11日))。
アーリントン(バージニア州)|ペンタゴンの所在地。ロス将軍へガンマ線の汚染情報(ガラナ・ウォーターを飲んだミルウォーキーの男のこと)が寄せられた。
ミルウォーキー(ウィスコンシン州)|ブルースの血液が入ったジュースを飲んだ男性(スタン・リー)が住んでいた街。
グアテマラ|ブロンスキーらロス将軍の部隊に追われ、気を失ったバナーがいた場所。ジャングルの中で目が覚めたブルースは、通りかかった軽トラックにヒッチハイクで乗せてもらい、チアパスまで向かう。
チアパス(Chiapas Ciudad Hidalgo メキシコ)|ブルースが、グアテマラから移動してきた場所。ブルースはバザーで施しをもらい新しい服を購入し、歩いて移動し、カルバー大学へ向かう。
カルバー大学(バージニア州ウィローデイル)|ブルース・バナー、ベティ・ロス、ジェーン・フォスター(マイティ・ソーの恋人)、エリック・セルヴィグ(ジェーンの共同研究者)、ロジャー・ハリントン(スパイダーマンシリーズでピーターの教師)、アンドリュー・ガーナー(エージェントオブシールドに登場する精神科医)らに関連する大学。潜伏生活を終えざるを得なくなったブルースは、変身が戻ってから17日後に本キャンパスにやってくる。ベティがいることを確認し、友人の経営する「スタンリーのピザレストラン」へ向かう。大学のパソコンでスーパーソルジャー研究に関する資料を探すが、すでにベティが持ち出していた。ミスターグリーンへデータを送ろうとするがロス将軍らの邪魔にあい、ハルクとなったブルースは、カルバー大学の校内でブロンスキーらと対戦することになる。この戦いののちにマスコミによる目撃者インタビューの最中に「廃船(ハルク)のような物体だった」という言葉から、緑色の大男が「ハルク」と呼ばれるようになる。
スタンリーのレストラン|ブルースの古い友人の経営する店。スタンリーはピザ屋兼ダイナーの店主でブルースとベティの良き理解者。店のメニュー「ミスターピンク」はベティのお気に入りのメニュー。大学のパソコンを使うためにピザの配達人になりすますブルースに協力する。
グレート・スモーキー山脈国立公園(アメリカ アパラチア山脈)|ハルクが負傷したベティを連れ岩の影で一晩過ごした場所。アパラチア山脈を構成するブルー・リッジ山脈の一部。1940年にフランクリン・ルーズベルト大統領によって公式にオープンされた。
ハーバード大学|ブルースとベティが志願して幻覚を誘発する実験を受けた大学。この時の感覚を1000倍にし、脳に幻覚剤を流し込まれているような感覚がハルクになっている時のブルースが感じていること。
モーテル|Five Mile Fork。国立公園で一晩を過ごした後、ブルースとベティが宿泊したモーテル。ロス将軍の追跡をかいくぐりスターンズ博士の元へ向かおうとする二人は、クレジットカードや携帯電話が使えないため、所持金の40ドルと、ベティの母の形見のネックレスを質屋に入れたお金でオンボロの中古車を購入する。この際にベティは自分のデジカメで中古車の前に立つブルースの写真を撮っている。ベティは、このモーテルから近いミルバーン質店に、母の唯一の形見のネックレスを入れたが、のちにブルースが買い戻し、ベティに郵送する。
ジャージーシティ(ニュージャージー州)|ジャージーシティからニューヨークへ向かうブルースとベティは、検問を行なっている橋の利用を諦め、ボートでニューヨークまで向かった。
ハーレム(ニューヨークマンハッタン区)|アボミネーションと化したブロンスキーが暴れ回った場所。アポロシアターなどがあるブロードウェー。スターンズが勤務しているグレイバーン大学(架空の大学)も近い。ブルースはここでアボミネーションとの戦いを繰り広げ、勝利したのちに、ブリティッシュコロンビア州の山小屋へ向かう。
ベラクーラ(ブリティッシュコロンビア州)|ブルースが向かった隠れ家。
登場人物/キャラクター
ブルース・バナー/ミスターグリーン
7つの博士号を持つ生物学者。カルバー大学出身。ガンマ線を浴びたことから、心拍数200で「ハルク」に変身してしまう体になった。実験を受けハルクとなった後逃亡し、現在はリオデジャネイロで潜伏生活をしてハルク化しないように努めている。アボミネーションとの戦いの後はベラ・クーラの山小屋で過ごすようになる。
サミュエル・スターンズ博士/ミスターブルー
ニューヨーク在住。グレイバーン大学の教授。ハルクの治療法を探していたブルースとネットで知り合い、連絡を取り合いニューヨークで初対面する。アボミネーションを生み出した張本人で、自らも怪物になる(がその後スターンズ博士がどうなったかについては、2022年現在までMCU内では描かれていない)。ブルースの血液サンプルを所持し、「ガンマテクノロジー」と称し、難病の治療や病気をしない肉体を作ることも可能だと考えている。
エミル・ブロンスキー/アボミネーション
ロシア生まれイギリス育ちの最強の兵士。イギリス海兵隊から派遣される。ロス将軍のもとでブルースと同じ超人血清を打つがハルクより弱いことから、スターンズ博士のところでブルースの血液サンプルを取り込み怪物「アボミネーション」へ変身する。ハルクとの戦いで倒されその後、ロス将軍により保護されアベンジャーズのメンバー候補にも上がっていた(マーベルワンショット「相談役」から)。
サディアス・E・“サンダーボルト”・ロス将軍
アメリカ陸軍将軍。戦後、秘密裡に進めていたスーパーソルジャー計画によって、5年前にブルースをハルク化させた張本人。ブルースが変化した原因を突き止めて、それを兵器化することを目論む。そのためにハルクを捕まえようと、肉体が衰え始めている年齢の最強兵士・ブロンスキーを中心にした部隊をハルク捕獲に送り込む。
そのほかの登場人物
エリザベス・ロス博士|カルバー大学の細胞生物学者。愛称はベティ。ブルースの恋人で、ロス将軍の娘。
ジョー・グレラー|ブロンスキーを招集した米軍将軍。(*演じたのはドラマ「エージェント・オブ・シールド」シーズン5のレモラス役と同じ俳優・ピーター・メンサー)
トニー・スターク|アベンジャーズ計画のことを、ロス将軍に伝える。この二人が会うことになった経緯はマーベルワンショット「相談役(2011)」で描かれる。
ロジャー・ハリントン(computer nerd)|ピザの配達員としてカルバー大学にやってきたブルースにピザと交換でパソコンを貸し出した学生(エンドロールにはcomputer nerdと記載)。のちにミッドタウン高校の教師となり、その教え子に、スパイダーマンのピーター・パーカー、MJ、ネッドらがいる。
世界観・設定・用語
スパーソルジャー計画
貧弱な肉体だったスティーブ・ロジャースの「超人化」に成功した計画。1942年当時SSRの代表だったアースキン博士やハワード・スターク、ペギー・カーター、フィリップ大佐、ブランド上院議員(ニューヨーク市議)らも関わっていた。第二次大戦以後、計画は中止されたが、ロス将軍は実験を継続し、ブルースは基礎研究を行なっていた。ブルースとベティはともに放射線への耐性を測ると言う名目の実験をアメリカ陸軍から依頼されガンマ線を浴びた。そのうちのブルースだけが「緑色の大男」へ変身する体質を持ち、ロス将軍らに追われる身になった。2006年に実験を行い、これまでの5年間逃亡生活をしていた。(マーベルワンショットの「コンサルタント(2011)(*コンサルタント=相談役はトニー・スタークのこと)」で、コールソンとシットウェルの話し合いからスーパーソルジャー計画が中止したことが判明。その方法はバーを買取り、トニーを交渉役に向かわせロス将軍に計画の継続を諦めさせた。このバーはシールドが作った偽物で、交渉成功の後、シールドによって解体される。)。ドラマ「エージェント・オブ・シールド」でも、ジョン・ギャレットやカルヴィン・ジョンソンなどに関係して「超人血清(のようなもの)」についてたびたび話題に上がる。またハーバード大学で幻覚剤の実験が行われ、カルバー大学のブルースとベティは被験者だった。
シールド
ブルースを探すために、ロス将軍はミスターブルーとミスターグリーンのデータをシールドの機密ネットワークにアップロードし、ブルースが連絡を取っていたのがスターンズ教授だということを突き止める。この際の捜査にはFBI、アメリカ陸軍なども関わる。
マーベルワンショット「相談役(コンサルタント)2011」
2011年にリリースされたミニドラマ。安全保障理事会からアボミネーションをアベンジャーズに入れるべきだと言われたシールド。フューリーは理事会の意向を拒否できないことから、コールソンはシットウェルと相談の上、ロス将軍との交渉役に「その立ち振る舞いでロス将軍を怒らせることができる」トニー・スタークを送り込む。こうして二人の思惑通りトニーの態度にロス将軍は激怒し、結果として理事会の要求は却下されることになった。コールソンらの働きによりアボミネーションがアベンジャーズに入る話はなくなった。
MCUクロスオーバー/トリビア
ブルース・バナー役のエドワードノートンは、本作の脚本にも参加していたが、最終的にその脚本が使われず編集を巡ってノートンはマーベル側と対立。2012年の「アベンジャーズ」以降はブルース役をマーク・ラファロが演じる。
あらすじ
カルバー大学での「スーパーソルジャー計画」によりベティ・ロス、ブルース・バナーらの研究者が被験者となる。米軍将軍のロスなどが見守る中、ブルースが「緑色の大男」になり、ベティやロス将軍らに危害を加え大学から逃亡。その後、ブルースを追跡するロス将軍だったが、5年経った今もブルースを見つけることができず、5ヶ月前からは、彼の逃亡先をつかめなくなっていた。
その頃、ブラジルに流れつき工場で働きながら凶暴化しないように努めていたブルースは、解決法を見つけるためネット上で知り合った「ミスターブルー」と解決法を探っていた。
ブルースは心拍数をはかり、自分の血液が誰かに触れないように細心の注意を払いながら、生活を続けていた。
しかし、働いている工場のジュースの中に、ブルースの血液が混入してしまい、そのジュースを飲んだ男性が体の異常をきたす事件が発生。ロス将軍は、ジュースの製造場所を突き止め、ブラジルのブルースの捕獲に向かう。
ブルースを追い詰めるロス将軍とその部隊だったが、そこでブルースが「緑の大男」に変身してしまう。かろうじて追跡を逃れたブルースだったが、その際に、部隊を指揮していた最強の兵士ブロンスキーは、変身したブルースの姿を目撃し、その原因がロス将軍にあることを教えられる。こうしてロス将軍は、兵士としては年齢が高いブロンスキーに「超人血清」を打ち、再びブルースの捕獲へ向かわせる。
問題の解決のために自らの体のデータが必要となったブルースは、カルバー大学にある計画の際の研究データを手に入れようと、大学へやってくる。旧友に助けられ、ベティとも再会を果たしたブルースだったが、入手したデータをミスターブルーへ送ろうとした矢先、ロス将軍の包囲網に囲まれてしまう。
そこで緑の大男となり、暴れまわった姿がマスコミにも報道され「ハルク」として世間に知れ渡る存在になってしまう。戦闘の巻き添えにあい負傷したベティと共に逃亡したブルースは、ミスターブルーに会うためにニューヨークを目指す。
グレイバーン大学の教授だったミスターブルーことスターンズ博士と初めて会うことになったブルースは、「ハルク化」することを抑えることに成功するが、スターンズ博士が、危険性の高いブルースの血液サンプルを所有し、それらを難病治療などに役立てる計画を立てていることを知る。
そんな中、再びロス将軍の部隊の襲撃に遭い、ブルースは捕えられてしまう。
血清を打ってからハルクとの戦いを熱望するブロンスキーは、カルバー大学でハルクに負けたことから、スターンズ博士に、さらにパワーアップさせるよう脅しをかける。
こうしてブルースの血液と体内に入れたブロンスキーは怪物化し「アボミネーション」へ変化する。
米軍のヘリで連行されていたブルースは、ハルクと戦いたいがために無目的に殺戮をするアボミネーションを止めに向かい、激闘の末にアボミネーションを倒すが、そのまま姿をくらましてしまう。
こうして人気のない山奥へ逃げたブルースは心身をコントロールする訓練をして過ごしていた。